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with Creators 堀江貴大さんインタビュー

【Interview】日常の中にある”驚き”を撮りたい。映画監督、堀江貴大さんインタビュー

【Interview】日常の中にある”驚き”を撮りたい。映画監督、堀江貴大さんインタビュー

「現実に起こりうるけれども、めったに起きないという、ギリギリのラインの出来事を撮りたい。」

そう話すのは、ユニークな世界観の作品を多く手掛ける堀江貴大さん。

あらすじを読むだけでも、非日常的な設定に「どんなお話なんだろう」と引き込まれてしまう作品の数々。

そんな面白い発想はどこから生まれてくるのか、気になりませんか。

No.1経歴とプロフィール、主な実績

堀江貴大さん

https://www.stardust.co.jp/profile/horietakahiro.html

【経歴とプロフィール】

1988年、岐阜県生まれ。

九州大学で映画研究部に所属し、自主映画を撮り始める。

卒業後、東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻監督領域へ進学。

初の長編映画『いたくても いたくても』は、大学院の修了作品。「第16回TAMA NEW WAVEコンペティション」にてグランプリを受賞。その後、全国公開される。

文化庁委託事業「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト2015」に参加し、短編映画『はなくじらちち』を監督。

2017年『ANIMAを撃て!』で長編商業映画デビューした。

2018年には「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM 2018」にてオリジナル長編映画企画『先生、私の隣に座っていただけませんか?』が準グランプリ(TSUTAYAプレミアム賞)を受賞。2021年9月10日(金)より、劇場公開予定。

その他、ドラマや広告などの幅広い分野で活躍している。

【受賞・入選実績】

2015年 長編映画「いたくても いたくても」※監督・脚本

第16回 TAMA NEW WAVEコンペティション グランプリ、ベスト男優賞、ベスト女優賞

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2016長編部門 ノミネート

CAMERA JAPAN Festival2016(オランダ) 招待上映

第3回 湖畔の映画祭 招待上映

2016年 短編映画「はなくじらちち」※監督・脚本

第19回 イスマイリア国際映画フェスティバル(エジプト) コンペティション部門ノミネート

CINEMA ON THE BAYOU FILM FESTIVAL 2017(アメリカ) 招待上映

第22回 函館港イルミナシオン映画祭 招待上映

第20回 水戸短編映像祭 招待上映

福岡インディペンデント映画祭2016 招待上映

第41回 湯布院映画祭 招待上映

第10回 JAPAN CUTS(アメリカ) 招待上映

第9回 栃木・蔵の街かど映画祭 招待上映

2017年 長編映画「ANIMAを撃て!」※監督・脚本

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2017 オープニング上映

2019年 長編映画「花と雨」※脚本

第32回東京国際映画祭 日本映画スプラッシュ部門

No.2映画を作り続けたい。その一心からプロの世界へ

堀江さんが映画を作り始めたのは、大学生の頃でした。

サークル活動として映画研究部に所属した堀江さん。

先輩方が自主映画を作っていたのを見て、自分も撮ってみようと思い始めたのです。

堀江「自分はただ好きで映画を撮っていたのですが、周りに映画制作に興味のある仲間が多くはいませんでした。

自主映画には同級生や知り合いの人たちに出演してもらって、カメラも回してもらって…という感じで撮っていました。」

映画を撮る楽しさを感じながらも、一緒に映画を作る仲間がなかなかいなかったとのこと。

そんな中、ご縁あって関東方面へ自主制作映画を手伝いに行く機会があり、そこで映画好きな人との繋がりができました。

堀江「その手伝いをきっかけに、映画を一緒に作る仲間がもっと欲しいと思っていたので、それならば東京に行った方がいいのではないかという思いが強くなったんです。

監督以外で、映画づくりに関わっている人たちと出会いたい。そのために、関東の映画学校に入ろうと思いました。」

その思いから、大学卒業後、堀江さんは東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻監督領域へ進学。

新たにエンタメの中心である首都圏で、本格的に映画製作について学び始めました。

映画を作り続けるために、映画を仕事にしようと思った

東京藝大大学院ではどのようなことを学ばれていたのでしょうか。

堀江「大学院では、2年間で習作も入れると5本の映画を撮りました。

1本撮り終わって編集をしている間に、次の映画の制作が始まっているというペースです。

ひたすら作り続けていたので、試行錯誤しながら自分がどんな作品を作りたいかに思い切り向き合える2年間でしたね。」

ひたすら制作という実践の場であった2年間。

映画制作を仕事として意識し始めたのも、そんな大学院時代だったそうです。

堀江「卒業後も映画を作り続けたいという思いが大きかったので、そうなると映画を仕事にしないとなと思いました。

やはり映画を作るにはお金がかかるので、そのお金を捻出するために、他に仕事を持つ(監督業と兼業)ということは僕には考えられなかったんです。」

大学院時代の「これからも映画を撮り続けたい」という強い思いが、今の堀江さんに繋がっているのですね。

No.3作品の中に”驚き”をいかに作るか

堀江さんの手掛ける作品のストーリーはどれも、まず設定が面白い!

例えば、2021年9月に劇場公開予定の「先生、私の隣に座っていただけませんか?」。

結婚5年目の漫画家夫婦の日常の物語ではありますが、そこからの展開は斬新。

妻が不倫漫画を描くことで、夫は妻に不倫がバレているかも?と不安になり、更には妻も不倫をしているのかもしれないと嫉妬に駆られていくサスペンスフルなストーリーです。

この漫画が自分たち夫婦のストーリーなのか、ただの漫画のストーリーなのか、現実と漫画の世界が錯綜するように描かれます。

あらすじを読むだけでも、どこか滑稽で、風変りな夫婦喧嘩に興味がそそられますね。

この作品のアイデアは、たまたま読んだ週刊誌の“不倫漫画” 特集がヒントになったとのこと。

普段どのような日常の中で、発想が生まれてくるのでしょうか。

自分では経験できないこと、知らない世界を映画の中に映したい

堀江「抽象的な言い方になりますが、”自分がビビっとコレ作りたい!”、”これ映画になるな”と思う瞬間があって。

どんなものにビビっとくるかを言語化することを考えてみたところ、”現実に起こりうるけど、めったに起きないこと”、それを映画の中で起こしたいと思っています。

僕自身も自分が観る側であれば、自分では経験できないような人生や知らない非日常的な世界に、映画で出会いたいと思うので。」

「自分が観る側であればこういうのが観たい」と、お客さん側の目線からも作品のアイデアを探っているんですね。

人間臭さや温かい部分など、人情を描きたい

以前は2年半ほど映像制作プロダクションに勤められ、広告としての映像作りも行っていた堀江さん。

媒体にこだわらず、これまで多くの作品を作られてきた中でも、自分ならではの作品へのこだわり、モットーとしていることを尋ねました。

堀江「どの作品でも、”人情”は描きたいなと思っています。

人情喜劇が好きなので、悲喜こもごもというか、人間の情けない姿や人間臭い部分とか、温かい部分を作品の中で描きたいと思っています。」

人の表面だけではなく、人の根底部分にある感情などを表現したいとのこと。

堀江さんの作品に出てくる人物は、みんなどこか共感できるところのあるキャラクターが多いと思っていたのですが、これは”人情を描きたい”と、堀江さんが意識されているからなのかと感じました。

堀江「あとは、できるだけ観ている人に驚いてもらいたいというのはいつも思っています。

東京藝大時代の教授である黒沢清監督の作品が好きなのですが、ホラー作品も多く撮られている黒沢さんはいつも「驚きを作る」ということを意識されて作られているんです。

ミステリーのように人が死んだりということはなくても、先読みできない展開だったりとか、ハッとさせられる瞬間があるものが、僕自身も好きなので。

日常のものを描く中でも、いかに驚きを作れるか、また感動でも笑いでも、どれだけ観ている人の心を動かせる瞬間が作れるかということを考えています。」

観ている人の心を動かしてこそ、面白い!と思わせることができるのですね。

自分のシナリオを超えてきてくれる俳優との現場が楽しい

堀江さんが作品を作っていく中で楽しいと思える部分はどこでしょうか。

堀江「それは断トツで撮影現場ですね。

お客さんの感覚に近いかもしれないですが、俳優のお芝居を観るのが純粋に楽しくて、好きです。

あと、自分の書いた脚本の中のキャラクターを、想像を超えて演じてくれるという瞬間があって、その瞬間は本当に面白いです。」

自身の映画は脚本から手掛けることの多い堀江さん。

頭の中で考えたキャラクターを実際に俳優が演じることで、『この人物にはこんなキャラクターの一面があったのか』と気付かされることもあるようです。

筋が通った脚本を書けた時も嬉しい時間

逆に大変と感じるところはどんな時であるかも尋ねてみました。

堀江「楽しさもあるのですが、やっぱり脚本を書く時は苦しさを感じることがありますね。

書いていて、このキャラクターはどんな人なんだろうと分からなくなる時があって。何かが足りないと思うけれど、それが見つかるまでの時間は苦しいです。」

撮影現場と打って変わり、脚本を書くという作業は自分だけの作業。

自分と向き合う時間が長くなればなるほど、苦しくもなりそうですよね。

堀江「でも、それが書けた時が脚本を書く中で、一番嬉しい時間です。

人物が動いてくれた、そうかそういうことだったんだと自分で気づけた時、1本筋が通ったなと思った時、自分の中で『この映画、いけるな』と思います。」

ちなみに、堀江さんは家ではなく、外のカフェなどで脚本を書くことが多いそう。

特によく利用するのは近所のカフェ。

気分を変えるために1軒目、2軒目とはしごするそうですよ(笑)

No.4その後の作品作りへ影響を作品「いたくてもいたくても」

思い入れのある作品を聞いてみたところ、自身初の長編映画である『いたくても いたくても』を挙げた堀江さん。

通販会社がプロレスをしながら商品紹介をし、会社を立て直そうとする、これまたユニークな作品です。

どのようなところに思い入れがあるのでしょうか。

堀江「この作品は東京藝大大学院の修了作品として撮りました。

そのあと劇場公開させてもらったのですが、宣伝や配給をプロの方に手伝ってもらいながら、自主的に動いて公開までを行ったんです。

自分の作品を自らいろんな人に見てくださいと宣伝してまわった作品なだけに、やはり思い入れは強いですね。」

また、この作品は若手映画作家の登竜門といえる「TAMA NEW WAVE」にて、主演男優賞、主演女優賞とともにグランプリの3冠を受賞された作品。

思い入れがあるのも納得です。

堀江「あと、ストーリーとしても、”自分が撮りたい作品”というものを意識するきっかけになったとも言えるかもしれませんね。

僕自身、“観る人に「なにそれ?」って思ってもらえるストーリーを撮りたいんだな”と、自覚したというか。」

確かに堀江さんの作品は、普通にありそうなことや物が組み合わさることで、「なにそれ?」という非日常な世界観へ導かれます。

『いたくても いたくても』であれば、通販×プロレス。

大学院卒業後に撮影された『ANIMAを撃て!』の場合は、ダンサー×ロックバンドのドラマー。

このような個性的な組み合わせは、『いたくてもいたくても』から生まれた、堀江ワールドといったところでしょうか。

No.5人の気持ちを動かすエンタメ作り

これまでも映画だけでなく、ドラマや広告など幅広い分野で活躍されている堀江さんですが、今後の目標を伺ってみました。

堀江「広告の映像の会社に勤めていた時に、広告の映像のディレクター業もやっていたんですが、広告では、その映像を見た人に“どう思ってもらいたいか”を中心に考えていくんです。

そして、意図したことを思ってもらうためには、どのように伝えていくといいのか、どう作ればいいのかについて考えるプロセスがありました。

このことを今後の映画やドラマを作る上でも考えながら、製作に関わっていきたいなと思っています。」

自分の作りたいものと、たくさんの人が観たいと思うものと一致すれば、それ以上に幸せなことはないけれど、やはりそれは難しいと感じ、時には自らが歩み寄ることも必要と感じているという堀江さん。

その点は広告業界を経験したことで、伝えたいメッセージをいかに見る人へ伝えるか、どう見せれば伝わるのかを考えるようになったんですね。

堀江「何でも撮れる監督になりたいと思っていたのですが、自分はそんな器用じゃない、と今更ながら気付きました……(笑)

広告業界での経験を活かして、見る人の気持ちを動かして、ちゃんと伝えたいです。ちゃんとエンタメを世に送り出したい。」

広告業界でいかに伝えたいメッセージを伝え、観る人に驚きや感動、ワクワク感を与えるか。

そのことにたくさん向き合ってきた堀江さんだからこそ、できる表現方法や技術もあると思うので、これからの作品に期待したいですね!

人の気持ちを動かすサスペンスやホラーを撮りたい

今後、挑戦してみたい作品のジャンルはあるでしょうか?

堀江「今はサスペンスかホラーをやりたいですね。僕自身とても好きなジャンルだけど、挑戦してこなかったので、めちゃくちゃやりたい。

観た人に怖がってもらう、ハラハラドキドキするというのは”気持ちが動く”という点において、サスペンスやホラーはジャンルとして特化していると思います。

驚きを作るという点においてもですね。

やる上で僕も成長できると思うし、好きなので、挑戦したいと思っています。」

堀江さんの描きたいと思っている、普通の日常の中に紛れ込む非日常的なサスペンスやホラーを想像すると、本当に怖そうです!

お話を聞いているだけで、観てみたいという気持ちが高まりました!

No.6まとめ

インタビュー中は終始、穏やかな笑顔で答えてくれた堀江さん。

自身の撮りたいと思うもの、好きな映画のジャンルなどを語る姿はとても生き生きとされ、また1本筋の通った言葉1つ1つからは、作品作りへの情熱のようなものも感じられました。

「ちゃんとエンタメをやりたい。」と、観る人の気持ちにいかに変化を与えるのかを意識し、作品作りに取り組まれているとのこと。

これからもさまざまな驚きのエンタメの世界を映画やドラマなどの作品を通して、私たちに魅せてくれるのではないかと期待が大きく高まりました!

今後のご活躍も、大いに楽しみにしています。

堀江さんの作品は、以下のように放映や上映が予定されています。

是非チェックしてみてください。

■ドラマ『高嶺のハナさん』(全12話)

公式サイト⇒https://www.bs-tvtokyo.co.jp/takanenohana/

BSテレ東にて、4/10(土)~放映中。

人気漫画が原作となったドラマで、堀江さんは第3~5話を監督。4月下旬〜放映予定。

■映画『先生、私の隣に座っていただけませんか?』

公式サイト⇒https://www.phantom-film.com/watatona/

9/10(金)より新宿ピカデリー他全国公開予定。

「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM 2018」準グランプリ受賞作品。

結婚5年目の漫画家夫婦に起こる、虚実入り混じるストーリー。

■STARDUST DIRECTORS film fes. 2021

公式サイト⇒http://www.stardust-directors.jp/sdff2020

2021年9月19日(日)・20日(月・祝)に、ユーロライブ(東京)にて開催される堀江さん所属のSTARDUST DIRECTORSの映画祭。

堀江さんの作品も、映画祭にて上映予定。

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