Interviews
with Creators 亀山睦実さんインタビュー
過去を見つめ直すよりも、未来を切り開いていきたい。映像クリエイター亀山睦実さんインタビュー
「起こったことは仕方がない。それよりも、未来だけを向いて生きていたい。」
そう語るのは、数々の映像作品で監督を務める亀山睦実さん。
悲しいこと、どうしようもない出来事が起こってしまったとき、怒りをぶつける人もいれば、不安でうろたえてしまう人もいるでしょう。
しかし、亀山さんはこう考えるそうです。
「起こってしまったことは仕方がないし、過去には興味がない。それよりも、解決に向けて動きたい。」と。
そんな亀山さんの作品から感じられる、情熱、愛、未来への期待や輝きは、このような前向きな考えから生まれてくるものではないでしょうか。
今回は、亀山さんの作品に注ぐ想いやクリエイターになったきっかけ、展望をお話いただきました。
No.1経歴とプロフィール、主な実績
亀山 睦実(かめやま むつみ)
【経歴とプロフィール】
1989年生まれ、東京都葛飾区出身。
2012年に日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業後、2016年にクリエイティブチーム・ノアドに入社。
映画の監督・脚本や、CM・TV・MV・2.5次元舞台のマッピング映像演出など、様々な映像作品の企画・演出を担当。
主な映画・ドラマ作品は『ゆきおんなの夏』『追いかけてキス』『マイライフ、ママライフ』『12ヶ月のカイ』等。
【受賞・入選実績】
2012年映画『好きなんかじゃない!』
*ゆうばり国際ファンタスティック映画祭フォアキャスト部門招致
*第一回池袋映画祭準グランプリ受賞
2014年映画『恋はストーク』
*第2回岩槻映画祭短編コンペティション部門審査員特別賞受賞
*第5回武蔵野映画祭入選
*TOKYO月イチ映画祭入選
*GAKUGAKU短編映画祭入選
2016年映画『ゆきおんなの夏』
*TOKYO月イチ映画祭2016年7月グランプリ受賞
*第10回田辺・弁慶映画祭コンペティション部門入選
*第4回岩槻映画祭短編コンペティション部門入選
*第1回Seisho Cinema Fes グランプリ受賞、ベストアクトレス賞受賞(中田クルミ)
2020年映画『マイライフ、ママライフ』
*第14回田辺・弁慶映画祭コンペティション部門 観客賞受賞
*Japan Connects Hollywood 2020; Official Sellection
No.2映像クリエイターになったきっかけ
亀山さんは一体どのようなクリエイターであり、人なのでしょうか。
時を遡って、亀山さんの幼少期にルーツを探ってみました。
亀山さんは映像を作る前に、もともとお話作りが好きだったとのこと。
漠然と、「物語を作る人」になりたいという夢を持っていたそうです。
最初のきっかけは、小学校の図工で作った物語
亀山「物語を作る人になろうという夢を抱いた最初のきっかけは、小学生のときです。
図工の授業で絵本を作る機会があり、私が作ったのは、子どもにとって身近な、動物や花が出てくる物語でした。
できたその物語を持ち帰り、両親に読ませてみたところ、「起承転結があって面白い!」と褒められたのが嬉しくて(笑)
そこでお話作りに目覚めましたね。
当時影響を受けたのは、上橋菜穂子さんの『精霊の守り人』シリーズや『ハリー・ポッター』シリーズなど。
図書館のヤングアダルト本が好きでよく読んでいました。」
原点を思い出して、笑いながら語ってくれた亀山さん。
そんな小さな頃のエピソード一つでも、作品として映像として楽しめるのではないかと思えるほど、私は聞いていてワクワクしました。
この小学生の体験がまさに亀山さんのルーツであり、クリエイターとしての資質がすでに備わっていたのでは?と感じられました。
No.3これまでの作品のルーツは?
20代、30代の大人女性ならときめかずにはいられない、恋愛映画を多数作り出している亀山さん。
私も亀山さんのSNSドラマ『追いかけてキス』に何度もときめき、キュンキュンした一人です。
これまで、亀山さんといえば恋愛映画という印象があったのですが、やっぱり得意なのでしょうか。
そう尋ねると、私の想像していた答えとは少し違っていました。
「恋愛がテーマの作品を撮ろうと思って作ったのではなく、結果的に恋愛がテーマになった。」
「恋愛というより、もともと作品を創り出す際に、性別は特に考えていません。」
それは、亀山さんの中学高校時代にルーツがあります。
恋愛は自分にとって非日常的。だから、知りたかった
亀山「私は中高一貫の女子校に通っていたのですが、恋愛というよりそもそも男子との接点がありませんでした。
そのため、“恋愛”というものがどこか非日常的に感じていたんです。
そんな中、所属していた放送部でドラマを作ってみようという機会があり、そのテーマがまさかの「恋愛」に決定。
非日常的に感じていた“恋愛”を深堀りしていくうちに、恋愛に憧れていたというよりも、恋愛=未知なものだから触れてみたい、という好奇心が沸き上がり創作意欲が刺激されました。」
※SNSドラマ『追いかけてキス』
tumblr→https://oikiss.tumblr.com/
Twitter→https://twitter.com/oikaketekiss
働くママ、家庭を描いた作品も
さらに最近では、恋愛から一歩進んで、働くママの家庭と子どもを持つか悩む女性を題材とした長編映画『マイライフ、ママライフ』という作品も大変話題です。
『マイライフ、ママライフ』が初の長編ということでしたが、昨年(2020年)の11月には、第14回田辺・弁慶映画祭観客賞を受賞され、Japan Connects Hollywood 2020にもノミネートされました。
この『マイライフ、ママライフ』は、女性ならではの視点で、「過去にとらわれず、これからの未来のためにどうするか」という女性の生き方を提示し、可能性を切り開く作品です。
まだまだ女性が生きづらいと感じる世の中ですが、その言葉に縛られるのではなく、冒頭でもあったような亀山さんの「未来のために」というメッセージが強く伝わってきます。
その渦中にいる女性なら、きっと胸に突き刺さる作品です。
※『マイライフ、ママライフ』
サイト→https://mymom.mystrikingly.com/
No.4媒体にはこだわらない。「伝えたいこと」が優先
亀山さんの映像作品は、映画・ドラマ・CMと幅広いのが特徴です。
媒体によって何か違いを出しているのかを尋ねてみました。
亀山「私自身が表現したいこと、伝えたいことを優先できれば、媒体には特にこだわりません。
ドラマ・CM・MVなど、たくさんのことに携わらせていただいておりますが、どのような媒体でもクライアントからの要望があれば、それに応じる。
そして、その媒体の中で精一杯、生まれてくる「伝えたいこと」を表現するのです。
どうやったら「伝えたいこと」を全力で伝えることができるのか、私らしさを出せるのか、考えるのも楽しいです。
でもやっぱり一番、体力と気力を注ぐのはダントツで映画ですね。」
映画は鑑賞する側でしかない私ですが、実際の作る過程は想像をはるかに超えたエネルギーを消耗するのでしょうね。
そしてまた、亀山さんのようなその作り手のエネルギーがたっぷりと注ぎ込まれた映画だからこそ、私たちは魅了されてしまうのでしょうか。
No.5今、出し切っています。実は次に向けて・・・
亀山さんはこれからどのような作品を生み出していくのでしょうか。
どんなクリエイターでありたいのか、思いを語っていただきました。
それって可能なの?って思われる切り口で表現したい
亀山「実は「女性っぽくない作品だね」と言われることが多いんです。
若手女性監督というと、繊細な表現や画作りといったところに焦点がいきがちです。
私自身、SF映画・ロボット映画が好きで、自分でも「確かにイマドキの女性の監督っぽくないかも。」と感じているところではあります。
しかし、それが悪いという意味ではなく私としてはポジティブに感じていて、周りがそう思ってくれることも面白いなと(笑)
イマドキの…にはとらわれず、今後も「それって可能なの?」と思うような、これまでになかった切り口で、面白い形にしていきたいと考えています。
そして、レッドオーシャンよりもブルーオーシャンの道を進みたいですね。」
ここにも、亀山さんの未来だけを向いている生き様、作品への思いが垣間見えました。
「これまでになかった切り口」といえば、現在(2021年1月)まだ公開前の長編映画『12ヶ月のカイ』ではヒューマノイドが登場します。
断片的なストーリーを伺っただけでも亀山さんだからこそできる切り口で、意外な結末が待っています。
私も今から公開が待ちきれません。
次に向けて…
インタビュー時は、ちょうど制作中だった作品が終わったタイミングだったので、その時も自分の力を出し切ったと話していた亀山さん。
春頃にはSNSドラマを企画中とのことで、こちらも期待が膨らみます。
亀山「『作品作り=アウトプット』が続いたら、毎回インプットにも注力したいという気持ちが高まってくるんですよ。
私は都会育ちなのですが、山がとても好きで、大自然に触れるのも大好きなんです!
そこから得るインスピレーションであったり、作品作りのモチベーションの維持にもなっています」
確かに亀山さんのインスタグラムを覗いてみると、大自然の投稿が数々登場しています。
インプットから、今後どんなアウトプットがあるのか、これからも目が離せません。
No.6まとめ
最初はちょっとクールな印象の亀山さんでしたが、時折見せる柔らかい表情と笑顔、温かい言葉と情熱的な思いを感じました。
「未来しか見てない」と話す亀山さんの目は、5年後、10年後、いえもっと先を見つめているようにも感じます。
これがまさに、作品にも表れているといっても過言ではありません。
これまでなかった組み合わせ・形・切り口の作品で、たくさんの人を魅了する亀山さん。
平成、そして令和の時代を切り開いてくれる作品と亀山さんに、これからも大いに期待したいですね。
(2021年2月)
▼このクリエイターに依頼
https://directcreators.jp/pj/portfolio?id=19
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